CPU使用率が高い状態が続くプロセス
筆者はMacを使用している際にアクティビティモニタを Dockアイコン → 「CPUの履歴を表示」 の状態で常時起動で使用しており、Dockに目をやるとCPUの使用状況がわかるような形で作業をしています。(ウィンドウ自体は閉じています。)
とある日に、何もしていないアイドル状態でCPU履歴が長い間非常に高い状態であることに気が付きました。犯人を捜してみたところ「ANECompilerService」「msd_stores」の2つのプロセスがCPUを大量に消費していることが判明しました。
この記事では、これらのプロセスが何をしているのか、なぜCPU使用率が高くなるのか、そして具体的な解決方法まで、わかりやすく解説します。放置しても大丈夫なのか、それとも対処が必要なのか、判断の基準もお伝えします。
筆者の場合の結論としてはOSのマイナーバージョンアップ直後であったことが要因でした。
環境
MacBook Air M1, 2020
macOS Sequoia 15.7.3
これらのプロセスとは?
ANECompilerService
ANECompilerServiceとは「Apple Neural Engine Compiler Service」の略称で、AppleのAI処理を担当する専用チップ「Neural Engine」のためのプログラムをコンパイル(変換)するサービスです。
簡単に言うと:
写真アプリの顔認識、Siriの音声処理、手書き文字の認識などAIを使った機能を効率よく動かすための準備作業を行うプロセスです。macOSをアップデートした後やアプリをインストールした後に機械学習モデルを最適化する必要がある場合に一時的にCPU使用率が高くなることがあります。
mds_stores
mds_storesとは「Metadata Server Stores」の略称で、macOSの検索機能「Spotlight」のデータベースを管理するプロセスです。
簡単に言うと:
Macに保存されているすべてのファイル(書類、写真、メール、アプリなど)の情報を記録して検索できるようにインデックス(索引)を作成・更新する作業を行います。大量のファイルを追加したりシステムをアップデートしたりするとこのインデックス作成作業が始まり、CPU使用率が上がります。
CPU使用率が高いときに考えられること
ANECompilerService
1. macOSアップデート直後の最適化作業
macOSをアップデートした際に新しいバージョンに合わせて機械学習モデルを再コンパイルする必要があります。この作業は自動的に行われ、通常は数時間で完了します。
2. アプリのインストールや更新
写真編集アプリ、ビデオ編集アプリ、AIを使用するアプリをインストール、または更新した場合にそれらのアプリが使用する機械学習モデルのコンパイルが必要になります。
3. 写真ライブラリの処理
写真アプリで大量の写真やビデオをインポートした場合、顔認識やシーン認識などのAI処理のためにANECompilerServiceが活動します。
4. システムの機械学習機能の初期化
音声入力、手書き文字認識、予測変換などmacOSの様々なAI機能が初めて使用される際に、それぞれのモデルがコンパイルされます。
mds_stores
1. Spotlightインデックスの再構築
macOSのアップデート後はSpotlightが全ファイルのインデックスを再構築します。ファイル数が多いほどこの作業には時間がかかります。
2. 大量のファイルの追加
外付けハードディスクを接続した、クラウドストレージ(iCloud Drive、Dropbox等)から大量のファイルをダウンロードしたなど、新しいファイルが大量に追加された場合にインデックス作成が行われます。
3. 破損したインデックスの修復
何らかの理由でSpotlightのインデックスが破損している場合、システムが自動的に修復・再構築を試みます。
4. 外部ドライブの接続
外付けSSDやUSBメモリなどを接続すると、それらのドライブ内のファイルもSpotlightの検索対象となるため、インデックス作成が始まります。
5. メールやメッセージの大量受信
Mailアプリで大量のメールを受信した場合やメッセージアプリの同期が行われた場合、それらのコンテンツがインデックス化されます。
解決方法
ANECompilerService
方法1: 処理が完了するのを待つ
- ANECompilerService の処理が完了するまで待ちます。
- 通常はおよそ2〜6時間程度で終了します。
- Macを電源に接続したままにしておくと作業が中断されずスムーズに完了します。
この方法がおすすめの理由:
ANECompilerService の作業はMacの機械学習機能を最適化するために必要なプロセスです。無理に停止させるとAIを使った機能のパフォーマンスが低下する可能性があります。
作業中にできること:
- 通常の軽いウェブブラウジングやメール作成は問題ないでしょう。
- ビデオ編集、ゲームなどのCPU消費が激しい処理は避けた方が良いです。
方法2: Macを再起動する
再起動後 ANECompilerService は必要に応じて再開されます。再起動すると作業が最初からやり直しになる可能性がありますが、プロセスが固まっている場合には有効です。
方法3: macOSの最新アップデートを確認する
macOS のアップデートでANECompilerServiceに関する不具合が修正されている可能性があります。
手順:
- 「アップルメニュー」→「システム設定」をクリックします。
- 「一般」→「ソフトウェアアップデート」を選択します。
- 利用可能なアップデートがあればインストールします。
mds_stores
方法1: インデックス作成が完了するまで待つ
ANECompilerServiceと同様に基本的には待つことが最善策です。
完了までの目安:
- 500GB SSD: 2〜4時間
- 2TB以上: 6〜12時間
- 外付けドライブを接続している場合: さらに数時間追加
作業を早く終わらせるコツ:
- Macを電源に接続したままにする。
- スリープモードにしない。
→システム設定で「ディスプレイがオフの時でもMacをスリープさせない」設定も検討。 - 夜間に放置して翌朝まで待つ。
方法2: Spotlightのインデックスを手動で再構築する
インデックスが破損している場合や、いつまでも終わらない場合に試す方法です。
手順:
- 「アップルメニュー」→「システム設定」をクリックします。
- 「Siri と Spotlight」をクリックします。
- 下にスクロールして「Spotlight プライバシー」をクリックします。
- 「+」ボタンをクリックして、Macintosh HD(または主要なドライブ)を追加します。
- 追加したドライブを選択して「-」ボタンで削除します。
- これによりインデックスが削除され、自動的に再構築が始まります。
注意点:
- この操作によりSpotlightのインデックスが削除され、ゼロから作り直されます。
- 完了までに数時間かかりますが破損したインデックスが原因の問題は解決されます。
方法3: 特定のフォルダをSpotlightの対象から除外する
大量のファイルがあるフォルダで、検索する必要がない場合に有効です。
手順:
- 「システム設定」→「Siri と Spotlight」→「Spotlight プライバシー」を開きます。
- 「+」ボタンをクリックします。
- インデックス化したくないフォルダ(例:ダウンロードフォルダ、仮想マシンのファイルなど)を選択します。
- 「選択」をクリックします。
除外を検討すべきフォルダ:
- 外付けドライブのバックアップフォルダ。
- 開発者向けの node_modules フォルダ。
- 大量のログファイルが保存されているフォルダ。
- Time Machineのバックアップ。
方法4: ターミナルでインデックスを強制停止・再起動する
上級者向けの方法ですが、すぐに対処したい場合に有効です。
手順:
- 「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「ターミナル」を開きます。
- 以下のコマンドを実行します。
sudo mdutil -a -i off
- パスワードを求められたら、Macのログインパスワードを入力します。
- 次に以下のコマンドでインデックスを再開します
sudo mdutil -a -i on
このコマンドの意味:
- sudo: 管理者権限でコマンドを実行します。
- mdutil: Spotlightのインデックスを管理するツールです。
- -a: すべてのボリュームに適用します。
- -i: インデックス作成をオン / オフにします。
方法5: セーフモードで起動する
システムに問題がある場合、セーフモードで起動すると自動的にメンテナンスが行われます。
手順(Apple Silicon Mac):
- Macをシャットダウンします。
- 電源ボタンを長押しします。
- 「起動オプションを読み込み中」と表示されたらボタンを離します。
- 起動ディスクを選択し、Shiftキーを押したまま「セーフモードで続ける」をクリックします。
手順(Intel Mac):
- Macをシャットダウンします。
- 電源ボタンを押し、すぐにShiftキーを押し続けます。
- Appleロゴが表示されたらShiftキーを離します。
セーフモードで起動すると、システムが自動的にディスクの検証とキャッシュのクリアを行います。問題が解決したら、通常通り再起動してください。
Q&A
- Qこれらのプロセスは強制終了しても大丈夫?
- A
推奨されません。「ANECompilerService」や「mds_stores」はシステムの重要な機能を担っています。強制終了すると以下の問題が発生する可能性があります。
- Spotlightの検索が正常に機能しなくなる。
- 機械学習を使った機能(顔認識、手書き文字認識など)のパフォーマンスが低下する。
- QOSアップデート後にこの問題が起きるけど防ぐ方法ある?
- A
macOSのアップデート後にこれらのプロセスがCPUを使用するのは正常な動作です。下記に気を付ければ日常使用に影響は少なくなるかと思います。
- OSアップデートは週末や夜間など時間に余裕がある時に行う。
- OSアップデート後、すぐに重い作業をせず数時間放置する。
- 定期的に不要なファイルを削除し、ファイル数を減らす。
- 外付けドライブはインデックス作成が必要ない時に接続する。
- spotlightの検索に必要のない領域をインデックス作成対象外とする。
- Q電源に接続していないとどうなる?
- A
バッテリー駆動時はmacOSがバッテリー消費削減を優先するため、これらのプロセスの処理速度が制限されます。その結果、作業完了までの時間が大幅に長くなります。電源に接続することでフルスピードで処理が進み、早く完了します。
- Q何日も高いCPU使用率が続くのは正常?
- A
通常は数時間〜1日で完了するはずです。数日続く場合は以下の可能性があります
- インデックスが破損している。
- システムに不具合がある。
- 外付けドライブに大量のファイルがある。
上記の「解決方法」セクションで紹介した、Spotlightインデックスの再構築やセーフモード起動を試してみてください。
- QアクティビティモニタでCPU使用率が100%超えるのは何故?
- A
アクティビティモニタは各コアの合計の値を表示します。例えば1つのプロセスが2コアをフル活用している場合、200%となります。
まとめ
「ANECompilerService」と「mds_stores」のCPU使用率が高くなるのは、システムの正常な動作です。これらのプロセスはそれぞれ機械学習機能の最適化とSpotlight検索のインデックス作成という重要な役割を担っています。
重要なポイント:
- 基本的には「待つ」ことが最善の解決策です。
- 通常は数時間で自動的に完了します。
- 電源に接続したまま放置することで作業が早く完了します。
- プロセスの強制終了は避けたほうが良いです。
- 数日続く場合は、インデックスの再構築やセーフモード起動を試してください。
多くの場合、夜間にMacを電源に接続したまま放置すれば翌朝には問題は解決しています。

